遺産を相続するか放棄で迷ったら?相続税や放棄の遺品整理の注意点 | 鯨鑑定士の不動産売却

遺産を相続するか放棄で迷ったら?相続税や放棄の遺品整理の注意点

2020.9.22

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家族や親族が亡くなって間もなく訪れる遺産の相続問題。
遺産というと不動産や預金のような財産を思い浮かべるかもしれませんが、これには借金などの負債も含まれています

故人が亡くなって初めて遺産の全容を知り、相続するか放棄すべきか迷っている方も多くいらっしゃるでしょう。
近年、遺産に負債が含まれているからといって相続放棄する人が増えてきていますが、その選択をした人の中には放棄したことを後悔している人も少なくありません。

なぜなら遺産を放棄することで故人の形見分けにすら関与できなくなる可能性が生じてしまうからです。

負債を負わずに済む相続放棄は大変便利な制度に感じますが、適切に判断するための十分な知識がなければトラブルの火種になったり精神的に辛い思いをする可能性があります。

遺産を相続するか放棄するかは実に難しい問題です。

今回は、遺産を相続するか放棄するか迷った場合の判断基準や、相続放棄によって得られるメリットとデメリットについて解説して参ります。
相続に関する用語の解説をはじめ、相続税とその特例、また遺品整理の注意点などについてもお伝えします。

こざかな生徒
こざかな生徒

遺産の放棄というと、故人に借金がある場合に行うものですよね?

その通り。
遺産に負債が含まれている場合に相続放棄するケースが多く見受けられます。
相続放棄をすると相続人でなかったことになるのですが、このことを知らずに手続きを進めてしまい、損害を被ったり家族間のトラブルになってしまう人も少なくありません。
メリットとデメリットを比較し、十分な検討をする必要がありますので、まずは基礎知識についてみていきましょう。

クジラ先生
クジラ先生

遺産の相続と放棄について

相続とは、人が亡くなった時にその人が所有していた財産を身内の人が分けることを言います。
亡くなった人を被相続人、財産を受け継ぐ人を相続人と呼びます。
民法で定められた法定相続人には以下の表の通り優先順位があります。

順位第一第二第三
被相続人との関係直系尊属兄弟姉妹

被相続人が亡くなった場合は、上記の法定相続人が法定相続分に従って遺産を相続することになります。
遺産というと現金や預金、不動産や貴金属等が挙げられますが、借金などの負債もこれに含まれます。

相続は資産や借金も合わせて相続される

もし相続した財産で被相続人の借金が支払えない場合は、相続人が自身の財産を用いて返済を行わなければなりません。

そのため、遺産を相続するか放棄するかで迷ったら、相続財産と負債を比較し、マイナスの財産が多い場合に相続を放棄することをおすすめします。
相続を放棄するとその人は相続人でなかったことになりますので、借金の支払い義務もなくなり、代襲相続(本来の相続人に変わって相続人になった人)としても認められません。

被相続人に借金があるにも関わらずそれを放棄せずに相続すると、相続債権者から借金の督促状が届きます。
これを放置していると相続債権者から裁判を起こされ、判決が出れば相続人の遺産に対して強制執行を行い、資産の差し押さえ手続きをされてしまうでしょう。

差し押さえの対象となるのは被相続人から相続したプラスの資産だけに留まりません。
家などの不動産や車などといった相続人個人の財産も対象となり、競売にかけられてしまう可能性があります。

負債を相続した時点で相続人自身の借金となってしまうので、被相続人に借金がある場合は注意が必要です。

相続放棄の手続きは三ヶ月以内

相続財産よりも負債額の方が上回る場合は相続放棄をして借金の支払いを回避すべきです。
相続放棄の手続きは家庭裁判所で行われますが、これはいつでも受け付けられるものではありません。
その期限は原則として三ヶ月以内と定められており、民法では自己のために相続があったことを知ったときから三ヶ月以内とあります。
この三か月の期間を熟慮期間と呼びますが、起算日は相続人によって異なります。

相続人熟慮期間の起算日
被相続人の配偶者又は子死亡の事実を知った日
未成年者未成年者が相続人になったことを親権者(親)が知った日
相続放棄により新たに相続人になった人自分が相続人になったことを知った日

三ヶ月の熟慮期間が過ぎると相続放棄手続きが出来なくなりますので注意しましょう。
相続放棄の場合は裁判所に申し立て書類を提出してから手続きが完了するまでに数日~数週間ほどかかります。
必要書類の準備期間等も含め、早めに準備をしておくことが大切です。

ただし、期限までに申立書を提出すれば相続放棄手続きの期限内として認められますので、時間がない場合は申立書だけでも提出しましょう。

遺産を放棄するとどうなる?

遺産の相続放棄は被相続人の負債額が大きい場合に行われるものです。
そのため、遺産を放棄すると相続人には借金の返済義務がなくなります
サラ金やクレジットカードの借金、事業のための借入れ、連帯保証人としての債務、未払いの家賃や損害賠償債務など、全ての負債に関する相続を放棄できます。
これは相続放棄の最も大きなメリットといえるでしょう。

また、遺産の分割手続きに関与せずに済むというのもメリットです。
自身が法定相続人の場合は、遺産分割手続きを進める上で様々な協議を行わなくてはなりません。
遺産分割では兄弟や親族と相続争いに発展するケースも多く、トラブルが長引くと家庭裁判所での調停となり、解決までに数年を要することもあります。

負債額が大きい場合は相続放棄した方が得策

相続放棄すれば遺産に関する一切の手続きを行わなくて済みますので、結果的にトラブルを回避することにもなります。

相続放棄によって特定の相続人に遺産を集中させることもできます。
これは、遺産が住宅などの不動産のみで法定相続人にあたる子供が複数いる場合に有効です。
例えば三人兄弟のうちの長男が家を継ぐとなった場合、他の二人が相続放棄することで長男が遺産(不動産)を速やかに相続できます。
遺産に負債が無い場合でも、このようなケースでは相続放棄によるメリットを得られるでしょう。

相続放棄のメリットは、負債を相続しなくて済むこと・遺産の分割手続きに関与せずに済むこと・特定の相続人に遺産を集中させることができることの3つになります。

クジラ先生
クジラ先生
こざかな生徒
こざかな生徒

借金を負う必要がなくなって面倒な遺産分割に関与しなくてよくなるなんて、とても便利な制度ですね!

負債の放棄にばかり気をとられてしまいますが、放棄によるデメリットについても理解しておく必要があります。

クジラ先生
クジラ先生

プラスの資産も相続できなくなる

相続放棄をすると借金をはじめとする負債を放棄できますが、当然ながらプラスの資産も相続できません
基本的にプラスの資産よりもマイナスの資産が多い場合に相続放棄を行いますが、負債だけに気をとられて他の資産を失ってしまうケースもありますので気を付けましょう。

例えば、亡くなった父に100万円の借金があった場合、それを返済できるような財産が無かったとして相続を放棄したとします。
しかし相続放棄後の遺品整理で300万円のタンス預金が見つかったとしたら、200万円の資産を失ってしまうことになるのです。

相続放棄の手続きを行った後はそれを撤回することはできませんので、相続放棄手続きをする前に被相続人の遺言や遺品などをよく確認することが大切です。

相続放棄をすると、唯一無二の資産を手放さなければなりません。
先祖代々受け継がれてきた土地や建物などの不動産、宝石類や骨董品など、思い入れのある財産でも一切手に入れることはできません。
自身が相続放棄をしても他の相続人が相続すれば資産が守られますが、全員が放棄したら相続財産管理人が精算して売却し、最終的には国のものとなってしまうのです。
そのため、相続放棄手続きには慎重な判断が必要です。

新たな相続人が出る

先述した通り、法定相続人が相続放棄をすると、優先順位が下の人に相続権が移ります。
これを相続放棄による相続権の移動といいます。
相続権の移動は法定相続人の相続範囲の兄弟姉妹までとなっていますので、相続放棄する人が居る限り、相続権は移ります。

被相続人に負債があるからと自身が相続放棄して相続権が移動すると、トラブルになる可能性がありますので十分に気を付けましょう。

例えば妻と子供がいる人が亡くなり、その被相続人には1000万円の借金があるとしましょう。
妻と子供は相続放棄を選びました。
そうすると次に相続権が移るのは相続順位第二位に当たる被相続人の父と母です。

父と母が被相続人に借金があること、妻と子が相続放棄したことを知らずにいた場合、1000万円の借金の督促状が届くでしょう。
父と母は自身が相続人であることを知らなかった場合、督促状によって借金と相続放棄のことを初めて知ることになるのです。

妻からではなく債権者から通達されるとなると、家族間トラブルに発展するかもしれません。

相続放棄をすると兄弟や親に影響を与えてしまうことを踏まえ、手続きを進める前に家族や親族に伝えておくことが大切です。

相続放棄の手続きは撤回できない

相続放棄の手続きを一度とったら原則としてそれを撤回することはできません
仮に相続放棄を自由に撤回したり取り消したりできるとすると、相続権の移動によって新たに相続人となった人や債権者などの法的な地位が不安定になってしまうからです。

三ヶ月の熟慮期間内だとしても、一度行った手続きを取り消すことはできませんので気を付けましょう。

但し例外的に相続放棄を撤回又は取り消しできる場合もあります。
取り消しが可能となるケースについては、以下の通りです。

  • 相続放棄の申述が受理される前
  • 詐欺又は脅迫行為によって無理に相続放棄させられた場合
  • 未成年者が法定代理人の同意を得ずに相続放棄した場合
  • 成年被後見人本人が相続放棄した場合
  • 後見監督人がいる場合、後見監督人の同意を得ずに相続破棄した場合
  • 被保佐人が保佐人の同意を得ずに相続放棄した場合

このようなケースでは相続放棄の撤回又は取り消しが認められる可能性があります。
後から財産があるのが分かったからなどという理由では認められません。

他にもある ○○放棄の意味とは?

相続は専門的かつ複雑な用語が多数存在します。
これは相続の放棄に関しても同じです。
相続の放棄に関する用語について以下をご覧ください。

  • 相続分(共有持分)の放棄
  • 財産(遺産)放棄
  • 遺留分の放棄
  • 遺贈の放棄

相続の放棄といっても、実はこのように複数の用語が存在し、全て定義が異なります。
一つずつ詳しく解説していきます。

相続分(共有持分)の放棄

相続放棄ととても似た用語ですが、大きく意味が異なります。
相続放棄は法的な手続きであり、マイナス・プラスの財産の全てを放棄することでした。
一方相続分の放棄は、遺産のうち、自分の共有持ち分についてのみを放棄するという意味になります。

これは遺産分割協議や調停又は審判の際に使われる用語であり、法的に認められた制度ではありません。
期限も方式も定められていませんので、遺産分割協議の際に「私は財産を放棄します」といえば、相続分を放棄したことになります。

しかしこれは相続財産を放棄する意味になりますので、債務者から債務の弁済を求められたら応じる必要があります。
つまり、プラスの財産を受け取れずに債務だけを相続する可能性があるということです。

言葉としてはよく似ていますが、意味は全く異なりますので注意しましょう。

財産(遺産)放棄

「財産を放棄します!」という言葉をよく耳にしますが、これはその言葉通り、財産(遺産)を放棄するという意味です。

財産放棄は正式な法律用語ではありません
日常会話で用いられる程度の用語であり、厳密な定義が定められていないのです。

この言葉を用いる多くの人は、相続放棄・相続分の放棄・遺贈の放棄のいずれかの意味で発しているものと考えられます。
どの意味かで相続の形が大きく変わりますので、財産(遺産)放棄という言葉が出たら、言葉の意味をよく確認することが大切です。

遺留分の放棄

遺留分の放棄とは、相続が発生する前に家庭裁判所に申立て、自分の遺留分を放棄することです。

遺留分とは、相続人に法律で保障された最低限の相続分のことをいいます。

通常の相続では法的相続分に応じた財産を取得するのが基本となりますが、被相続人が生前に遺言書で相続分を指定しているケースもあり、その場合は遺言の内容に従って遺産分割が行われます。

しかし中には、「私の財産は全て○○に相続させる」などという特定の相続人にのみ有利な相続内容が記されているものもあります。
こういったケースにおいて、法定相続人の相続権を保護するため、民法において遺留分という最低限の相続を認めているのです。

遺留分と遺留分侵害請求権は相続人が持つ権利として認められていますので、もし遺留分の相続を侵害された場合は、遺留分侵害請求権を行使してその分を取り返すことが可能です。

被相続人の生前に遺留分の放棄をするのであれば家庭裁判所への申立てが必要になりますが、条件が定められているため必ずしも認められるわけではありません。
相続発生後であれば特に手続きは必要ありませんし、遺留分以外の相続をすることは可能です。

しかしながら放棄した場合に得られる財産が少なかったりゼロだったとしても、他の相続人に対して異議を唱えることができませんので、その点に留意しておきましょう。

遺贈の放棄

申し上げた通り、被相続人が相続に関する遺言を残していた場合は、この内容に従って遺産が分割されます。
遺言によって遺産を受け取る人を決めることを遺贈といい、それを受け取る人を受遺者と呼びます。

遺贈は、法定相続人ではない友人や知人などの第三者に対して行われることが多いです。

遺言書による遺贈を拒否する人はあまりいませんが、財産の内容や他の相続人との関係によっては受遺者が辞退することもあり得るでしょう。
受遺者が遺贈を辞退するという場合に、遺贈の放棄が認められています。

受遺者が遺贈の放棄をした場合は他の法定相続人の財産となります。
こちらに関しても原則として撤回や取り消しが出来ませんので、よく考えてから結論を出すことが大切です。

遺産を相続した場合の相続税について

遺産を放棄する手続きを三ヶ月以内に行わない場合、相続を承認したと認められ、相続する財産の金額に応じて相続税の支払い義務が課せられます。
相続税は高いなどということも耳にしますから、一体いくらかかるのだろう?と不安に思う方も多いことでしょう。
ここからは、遺産を相続した場合の相続税についてご説明してまいります。

相続税は遺産を相続したからといって必ずしも課税されるわけではありません。
相続税の基礎控除額というものがあるため、この額を下回っている場合は無条件で申告の必要がなくなります。

基礎控除額を算出する計算式は以下の通りです。

相続税の基礎控除額=3000万円+600万円×法定相続人の人数

計算式から分かる通り、遺産総額が3600万円以下であれば相続税はかからないということになります。
また遺産総額が3600万円を超えても、法定相続人の人数に応じて控除額も引き上げられる仕組みとなっています。

以下の表は法定相続人の人数による相続税の基礎控除額をまとめたものです。

法定相続人の人数基礎控除額
1人3600万円
2人4200万円
3人4800万円
4人5400万円
5人6000万円

例えば、妻と子供3人がいる場合は法定相続人が4人となりますので基礎控除額は5400万円になります。
被相続人の遺産総額が5400万円以下であれば相続税はかかりませんし、申告の必要もありません

こざかな生徒
こざかな生徒

3600万円以下だと相続税がかからないのですね。

実は相続税を支払う人は、相続人全体の約8%しかいません。
約92%は相続税を支払っていないことになりますので、一部の富裕層に偏った税金とも言えるでしょう。

クジラ先生
クジラ先生

相続税の対象になる遺産とならない遺産

相続税の対象となる遺産についてですが、これは相続が発生した時点で財産的価値のある全ての物が対象となります。

具体例を以下にまとめました。

  • 土地
  • 建物
  • 預金
  • 株式
  • 現金
  • 債権
  • 投資信託
  • 生命保険金(500万円×相続人の人数を超える部分)
  • 死亡退職金(500万円×相続人の人数を超える部分)
  • 過去3年以内に相続人に贈与した財産
  • 貴金属
  • 骨董品
  • ゴルフ会員権
  • 貸付金

被相続人が所有していたこれらの財産の総額が相続税の対象となります。
財産一つ一つに対して課税されるわけではありません。

次に、相続税の対象にならない財産について、以下をご覧ください。

  • 仏壇仏具
  • 500万円×相続人の人数までの生命保険金
  • 500万円×相続人の人数までの死亡退職金
  • 宗教や慈善事業など公益に事業に使用するお金
  • 事故などの損害賠償金

これらに該当する財産は相続税の課税対象とはなりません。

遺産は数も種類も多いため、中には対象になるかならないかの判断が難しいものもあるでしょう。

例えば相続税の課税対象にならない仏具。
これは祖先を礼拝する慣習や国民感情に配慮して相続税の課税がされないと定められていますが、それが金の仏像であれば財産的価値があるものとして課税対象になる可能性があります。

事故などの損害賠償についても、遺族の精神的な苦痛に対する慰謝料として賠償金を請求した部分に関しては課税対象となりませんが、付帯看護代や医療費などに対する損害請求権による利益は課税対象とみなされます。

亡くなった方の全財産を把握して遺産の正確な総額を算出するのは簡単ではありません。
相続財産の判断を誤ると相続税の申告ミスに繋がってしまい、ペナルティを課される可能性がありますので十分に気を付けましょう。

相続税の各種特例控除について

遺産の総額が基礎控除額以下であれば原則として相続税の申告は不要となりますが、各種控除や特例を利用して基礎控除額以下になった場合や控除や特例の種類によっては申告が必要になるケースもあります。

相続税の特例や控除とその内容、申告手続きの必要性については以下の表をご確認ください。

特例・控除申告の必要性特例・控除の内容
配偶者に対する相続税の控除必要配偶者が法定相続分又は1億6000万円以下の遺産を相続する場合に相続税が免除される
小規模住宅などの特例必要居住用や事業用で継続利用する土地について評価額を最大80%下げることができる
贈与税額控除不要贈与税を支払っている場合、贈与税で払い過ぎた分の税額の還付を受けられる
未成年控除不要相続人が未成年の場合、6万円に未成年が20歳までの年数を乗じた額を控除できる
障害者控除不要相続人が身体又は精神に障害がある場合、一般障害者6万円、特別障害者12万円に対して相続人が70歳までの年数を乗じた額を控除できる
相次相続控除不要10年以内に相続が続けてある場合、1回目に支払った相続税の一部を2回目の相続のときに差し引くことができる

相続税の申告について、小規模住宅などの特例を用いた例をみてみましょう。
自身の土地の評価額が8割減額される小規模住宅などの特例を適用すれば遺産総額が基礎控除額を下回るとします。
基礎控除額以下になれば相続税の申告の必要性がありませんが、その特例を適用するのための申告が必要です。

このように特例の種類や適用条件によって申告の可否が変わることを留意しておきましょう。

相続税の申告期限について

相続税の申告期限は、被相続人が無くなったことを知った翌日から10ヶ月以内です。
死亡日が1月1日なら、申告期限は11月1日となります。

※現在は新型コロナウイルス感染症の特例により期限内に申告・納付が困難な相続人に限り一部延長が認められています。

10ヶ月の期限内に、相続税に関する資料を税務署に提出し、相続税を納税しなければなりません。
期限内に納税までを済ませることがポイントとなります。

ほとんどの相続人は相続税を支払う必要がないのだから関係ないと思われる方がいらっしゃるかもしれません。
しかし、相続税の申告期限は前項でお伝えした特例や控除の申告期限でもあります

特例や控除の適用に相続税の申告手続きが必要だとしたら、申告期限を過ぎてしまえば適用されません。
そうなると期限内に申告していれば相続税を大幅に減額、あるいはゼロになっていたものでも、通常通りの税額を支払わなくてはならなくなります。

期限の延長とペナルティ

相続税の申告期限の延長は原則として認められません。
例外として特殊な事情がある場合のみ延長申請をすれば最大2か月間の延長が認められますが、それが認められるケースは大変珍しいと言われています。

もし相続税の申告と納付が期限内に行われなかった場合は、提出が遅れたことと納付が遅れたことの二つに関して別々のペナルティが課されます
それが悪質であると認められた場合には税率の重い重加算税が課せられるでしょう。

申告期限内に提出と納付を済ませられるよう、早めに準備を行うことが大切です。

遺品整理について

遺品整理では遺品と相続財産という二つの用語が用いられます。
まずはこれら二つの定義についてご説明しましょう。

遺品とは、故人が生前使用していたものや残していたものなど、所有していた全ての物をいいます。

相続財産は、不動産や車、預金など、相続人へと引き継がれる財産のことを指します。

日記や手帳は遺品として扱われますが、相続財産としては扱われません。
混同して使われることがありますが意味が異なりますので注意が必要です。

遺品整理は次のような流れで行われます。

  1. 遺言書の確認
  2. 遺品を仕分ける(相続財産の確認)
  3. それぞれの方法に合わせて処分する
  4. 遺品と財産を分割する

遺品整理を行う時期について明確な規定はありません。
しかし遺産の放棄手続きは被相続人が亡くなってから三ヶ月以内となりますので、その期限を目途に行うと良いでしょう。

遺品整理の流れやポイント

遺品整理の注意点

相続を放棄することを選んだら、遺品整理には気を付けなければなりません。
遺品整理を行うと、相続放棄が認められなくなる可能性があるからです。

民法では、相続財産の全部または一部を処分したときは相続の意思があるとみなし、相続放棄を認めないと定められています。
一度でも相続を承認したとみなされればその後破棄することはできません。
明らかにゴミだと分かるものや交換価値のないものなら影響はありませんが、一見価値のなさそうな遺品でも価値が付く可能性もあります。

相続放棄することを選んだ場合は、相続財産だけではなく、遺品についても一切触れないようにすることが重要です。

そうなると、相続人が自分一人しかいない、または法定相続人全員が相続放棄することを選んだ場合に誰が遺品整理するのか?という疑問が出てくるでしょう。
相続放棄をしても相続人には管理責任が残りますので、相続放棄に影響がないよう間接的に遺品整理を行うなどして対処する必要があります。

方法としては、相続財産管理人へ遺品の管理と整理を任せるのが一般的です。
相続財産管理人とは、相続放棄によって相続人がいなくなったときや相続人の有無がわからないときに家庭裁判所に申立てをして選任される人のことで、相続人に代わって相続財産の整理を行います。

申立てできるのは相続を放棄した本人や利害関係者にあたる人(遺贈の受遺者、被相続人の債権者など)、検察官となります。

遺品整理の費用負担

相続財産管理人を家庭裁判所に申立てした場合、予納金として20~100万円を納めなければなりません
この支払義務は申立人に発生します。

相続放棄をした場合でもこれを拒否することはできません。

先述した通り、相続人が財産放棄しても財産の管理の義務は放棄できないからです。
予納金の他にも、遺品整理を行う人の人件費についても、裁判所からの指名された管理人からの請求になりますので実費となるでしょう。

いわゆるゴミ屋敷のように大量の遺品がある場合は、遺品整理の追加請求をされるケースも多く、これらも申立人に支払い義務が生じます。

相続放棄したら形見分けもできないの?

相続放棄することを選んだ場合は、原則として一切の遺品に触れないように気を付けなければなりません。
しかし、それでは故人の形見分けもできないと悩む方もいらっしゃるでしょう。
実際のところ、相続放棄する場合の形見分けについては基準が示されているにもかかわらず、判断がとても難しいのが現状です。

示されている基準とは一般経済価値というもので、それが常識の範囲を超える場合には単純承認したと認められるため相続放棄が出来なくなります。
基準とはいっても、曖昧で複雑なのがお分かりいただけるでしょう。

実際の裁判の事例においても、衣類の形見分けが単純承認と認められるケースもあれば、それに該当しないケースもありました。

つまり結論から言うと、相続財産の総額や被相続人または相続人の経済状態、形見分けの趣旨など総合的な判断によって決まるということです。
特に被相続人の財産のうち負債の方が大きい場合は、わずかな価値しか見込めないものでも相続財産として認められる可能性がありますので注意が必要です。

判断に迷った場合は専門家に相談するなどして、適切な指示を仰ぐことが大切です。

こざかな生徒
こざかな生徒

大切な家族の形見分けも出来ないなんて、とても辛いですね。

相続放棄はとても便利な制度ですが、それほど厳しいものだということをお分かりいただけたでしょう。
しかし、相続に関する専門家であれば遺品の中から形見分けできるものを選んでくれたり、判断してもらえる可能性があります。
相続放棄をする場合には、専門家のアドバイスをもらって手続きを進めると安心ですよ。

クジラ先生
クジラ先生

ここまで、遺産の相続と放棄についてお伝えしてまいりました。
被相続人が亡くなったら、悲しみの癒える間もなく、様々な手続きを進めなければなりません。
相続もその一つです。

法で定められた法定相続人に相続権が発生しますので、速やかに対応する必要があります
相続というと聞こえはいいですが、決してプラスの資産だけではなく、借金などの負債が含まれている可能性もあります。
全てを相続した場合は負債が自身の借金となり返済の支払い義務が生じてしまいますので、十分に検討した上で相続するか放棄するかを決めましょう。

相続放棄をするなら申告期限までは三ヶ月しかありません。
これを過ぎると相続放棄が認められませんので、特例の適用も含め、申告の必要性について早めに考えることが大切です。
ただし、遺品整理に関与すると相続が認められなくなる可能性があるなど、遺産の相続と放棄は複雑な内容になります。

相続財産が複雑だったり判断に迷う場合は、相続の専門家に相談し、適切な指示を仰ぐことが大切です。
相続に関しては家族や親族間でのトラブルが発生するケースも多いため、遺産分割や放棄に関して十分な話し合いが必要になることも覚えておきましょう。

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