不動産の個人売買の方法は?個人売買の注意点やリスクについて解説

2021.3.9

2021.4.1

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この記事の監修・執筆者

未来不動産コンサルタント株式会社

代表取締役 小川 樹恵子

保有資格:不動産鑑定士、宅地建物取引士、賃貸経営不動産管理士、FP2級、証券外務員2種、貸金取扱業務取扱主任者

【本サイト(鯨鑑定士の不動産売却・投資)のメイン監修者】2007年から2014年の間に、個人の不動産鑑定事務所ほか、住友不動産株式会社に勤務し、不動産鑑定評価実務や不動産売買の経験を積み、「不動産の鑑定評価から売却・購入までワンストップ対応!」をモットーに、2014年未来不動産コンサルタント株式会社を設立し、現在は、不動産鑑定・不動産売買のほか不動産実務等の講師なども務めている。

自己所有する不動産を売却したい、あるいは不動産会社を通さずに購入したいと考えた時、いったい何から作業を始めれば良いのでしょうか。

また、不動産会社を通さない取引にリスクはないのでしょうか。

業者を通せば手数料が取られることからも、昨今では個人間売買に関心を示す人も増えているようです。

ただし、特に売主は適正価格をきちんと設定できるか、買主をどのように探し必要書類をいかにして用意するか、といった問題を抱えることになります。登記関連手続き等は法的分野にも当たるため、正しい知識で作業を進めなければなりません。

売主、買主ともに納得できる条件でより円滑な売買取引を進めていく上で、全体的な流れを把握しておくことは非常に大切なのです。

こざかな生徒
こざかな生徒

どうやって、個人で不動産を売買取引をしていけばいいのでしょうか?

ここでは、不動産の個人売買の流れやリスク、注意点等を中心に取引の全体像をお伝えしていきます。

クジラ先生
クジラ先生

不動産売買の一般的な流れ

不動産売買手続きの流れを知ろう

所有する不動産を売却したい場合、まずは何から手を付ければ良いのでしょうか。売却を思い立ってから契約~引き渡しが完了するまでには、どのような手続きが必要でどのくらい期間がかかるものかも知っておく必要があります。

不動産が一軒家かマンションかに関わらず、手続きの流れは基本的に変わりませんので、全体的な流れを把握しておくことで、よりスムーズな取引が実現できると言っても良いでしょう。

不動産売却完了までの作業目安

売主にとっては、できるだけ早期に良い値で不動産を売却できることが望ましいものです。

しかし、仮住まいの確保がまだの場合は、いつ売れても良いように早めに引っ越しておくことが大事です。また、売値の付け方が適正でなければ、いつまで経っても買主が現れず、どんどん値下げしていくことにもなりかねません。

このような事態を避けるためにも、予め大まかな作業内容と目安期間を理解して、以下に挙げるような各種手続きをできるだけスムーズに進めていけるようにしましょう。

事前に情報収集をしっかり行う

不動産に適正価格を付けるためには、自分でしっかりと相場を調べる必要があります。

所有する不動産の立地条件や地盤、道路に面しているか、間取りや庭はどうなっているか等、総合的な評価ができれば望ましいと言えます。

相場のイメージを得るために有効な材料としては、国土交通省による地価公示や不動産価格指数といった資料があり、これらも活用して価格設定のヒントにすると良いでしょう。

不動産会社が提供している物件価格もこまめにチェックし、似たような条件の物件があればそちらも参考にしてみましょう。これらの情報収集には約3~4ヶ月ほどかけ、十分にリサーチすることが大切です。

世間への売却物件広告の展開

不動産会社の場合は、自社ホームページや店舗等での営業活動が可能ですが、個人で売買する場合はそういった面で不利になります。

そこで、親類や知人に不動産を探している人がいないか声をかけてみるのも良いでしょう。チラシを作成し自費で折り込み広告として配布したり、ポスティングしたりする等、地道な活動も必要になってきます。

内覧希望者が出てきた時に備えて、相手が購入してくれるかもしれない見込み客であることを想定し、気持ち良く家や庭等を見てもらえるよう、普段から手入れを怠らないようにしたいものです。

いくら条件や価格設定が良い物件であっても、壁紙の汚れやキズ、破れ、畳や床の痛み、荒れた庭等が目立つようであれば、印象は悪くなってしまい、購入意欲が削がれてしまうかもしれないからです。

だからこそ、普段から物件内外ともにしっかりと手入れして、いざ内覧となった時には、にこやかに丁寧に接客することを心がけましょう。

売買の意思が固まったら最終確認へ

相手が購入を決めたら、以下について最終確認を行います。

  • 交渉後の最終価格
  • 代金支払い方法
  • 引き渡し予定日
  • 売買契約締結日

必ずと言っていいほど行われるのが、物件価格交渉です。

買主は少しでも安く購入したいですし、売主は少しでも高く売りたいのですから、交渉は繊細かつ丁寧に進めていかなければなりません。最終的にはいくらかの値下げを行って合意に至ることが多いため、売り出し価格は希望価格よりも若干高めで設定しても良いでしょう。

売買合意後は契約へと移行します。業者を介した不動産売買の場合は、これらについて書面に明記され、売主と買主双方が所持して今後の手続きを進めていくことになります。

なお、物件に欠陥や不具合などの瑕疵(かし)がある場合は、契約締結前に必ず伝えましょう。後のトラブルを防ぎ気持ちの良い取引を成立させるために欠かせない要素になります。

売買契約締結

双方が売買条件に合意したら、売買契約の締結へと進みます。

契約内容は専門的な言葉が数多く並びますが、事前にしっかりと理解できるようにしておくことが大切です。

契約時には、売主は買主から手付金の支払いを受けます。個人間取引の場合は特に必要ありませんが、不動産会社を介した手続きの場合は仲介手数料がかかるので、予め金額の確認が必要です。
詳しくは、下記をご覧ください。
参考:物件売却時の仲介手数料について | 公益社団法人 全日本不動産協会

不動産売買にかかる費用

不動産売買には手数料がかかるものですが、特に売却の時は費用の額も大きくなります。

こざかな生徒
こざかな生徒

どんな費用がかかってきますか?

具体的には、以下のような諸費用が発生します。

クジラ先生
クジラ先生
  • 仲介手数料(不動産業者を通す場合)
  • 登記費用(司法書士に支払う報酬や抵当権抹消費用)
  • 印紙税(売買契約書は課税される)
  • 測量費
  • 解体費
  • 廃棄物処理費
  • 転居費用

では、各費用の重要な部分について詳細を見ていきましょう。

不動産会社を通す場合の仲介手数料

不動産会社を通して物件を売却する時、仲介手数料が発生します。

手数料の上限は、実際に売買される価格に応じてその約3%と約6万円+消費税(66,000円)を加えた額になります。これは不動産会社に仲介を依頼した時に払うのではなく、成功報酬として支払います。

買主が見つかって売買契約が締結された際に半額を、滞りなく物件の引き渡しが行われた時に残る半額を払うのです。

具体的には買主と売買契約を結んだときに半額を、物件を引き渡したときに残りの半額を支払うのが通常だ(詳しくは「売却時の仲介手数料とは?いくらかかる?」を参照)。

例えば売買価格が400万円以上となる時、割合は3.3%となりますから、以下のような計算を行います。

仲介手数料の計算

仲介手数料(売却額400万円以上の時)400万円×3.3%+66,000円=198,000円
仲介手数料(売却額1,000万円の時)1,000万円×3.3%+66,000円=396,000円

このように、手数料だけでも10万円単位の大きなお金を支払う必要があるのです。

売買契約書は課税され印紙税を払う

契約事においては一般的に、取引金額の大きさに応じた印紙を貼付します。

これは、契約行為が課税されるためで、印紙税を支払った証として印紙を契約書に貼るのです。

印紙を貼った契約書には、本人による割印があることで納税が済んでいると証明できます。

不動産契約でも同様に印紙税を払う必要があり、契約書に記載された物件の売買価格に応じて、以下のように金額が決まってきます。

物件の売買価格に応じた不動産価格

契約書に記載された不動産価格印紙税額
100万円~500万円以下1,000円
500万円~1,000万円以下5,000円
1,000万円~5,000万円以下10,000円
5,000万円~1億円以下30,000円
1億円~5億円以下60,000円

2022年3月31日までは税額の軽減措置の期間内であるため、上記の表もこれに準じたものとなります。売買契約書は2通作成され、いずれも原本として売主と買主が1通ずつ保管することになっています。

つまり、印紙税も契約書2通分必要になるのですが、これは売主と買主がそれぞれ負担するので、双方が出費することになるのです。

司法書士に依頼して抵当権抹消を行う費用が必要

不動産売却にあたり、司法書士に依頼して所有権移転登記の手続きを行わなければなりません。費用は買主が負担し、この手続きを行うことによって、物件の所有権が買主に移るのです。

一方、物件に住宅ローンの残債がある場合、金融機関による抵当権を抹消する必要があります。

この時、抵当権抹消登記の手続きが求められるので、売主が登記費用を負担し抵当権を無くします。抵当権抹消登記の手続きは一般的に司法書士に依頼して行われるため、売主はその依頼費用約2~3万円も負担することになります。

そのほかにかかる費用もある

測量費や解体費用等、細かく諸々発生する費用もあります。各作業やその費用は、平均すると以下のようになります。

測量費用約50万円~80万円
解体費用約100万円~300万円
廃棄物処分費用約10万円~50万円
ハウスクリーニング費約5万円~15万円

各作業はそれぞれ専門業者に依頼して行う必要があるので、各社に作業内容とその見積もりを請求してよく比較し、十分に検討して決めることが大切です。

不動産の個人間売買とは

不動産の個人売買はできる?

ここまで、不動産業者を介した売買を前提として説明してきました。しかし、売主と買主の間に不動産業者を入れず、個人間で不動産売買を進めるケースもあるのです。

不動産業者を介入させないことにより、売買価格×約3%+66,000円もの仲介手数料を節約することができます。

仮に物件の売買価格が1,000万円だった時、1,000万円×3.3%+66,000円=330,000円もの仲介手数料が不要になるのですから、売主にとっては重要な点だと言えるでしょう。ただし、専門業者である不動産会社を介さないことにより、売主は次に挙げるような問題を自ら解決していかなければなりません。

売主はどうすれば買主を見つけることができるのか

売主や買主を見つけるのに非常に効果が高いと言われているのが、レインズという不動産物件システムです。

レインズに物件を登録することで、全国各地の不動産会社と情報を共有できますから、早期に売主や買主を見つけられる可能性が高まるのです。

ただし、レインズを始めとする物件検索システムには、個人では登録できないことがほとんどなので、基本的に売主は、自力で広告宣伝活動を行う必要があります。

全く関係性のないところから見込み客を見つけなければなりませんので、例えば次のような手段を使って、少しでも物件の存在を知ってもらえるよう努力しましょう。

見込み客を見つける方法

経路方法
インターネットツイッター、インスタグラム
インターネットFacebook
インターネットWEBサイト、ブログ
手作業チラシ配布、物件等への貼り紙

ただし、これらの方法にはメリットとデメリットが存在しますので、特にインターネットを使った広告活動については、インターネットを使い慣れた人の協力が必要になってくるかもしれません。

それぞれの方法のメリット・デメリット

方法メリットデメリット
ツイッター・インスタグラム写真をメインとした頻繁な更新で常に詳細情報を発信できる。頻繁な更新が面倒。慣れていないと使いにくいと感じることも。
Facebook不動産売買に関心を持つ人と繋がりを作っていくことができる。地道な知り合い作りが必要。できた人脈をどのように物件に結び付けていくか戦略が求められる。
WEBサイト・ブログ長期的に写真と説明文を掲載していくことでネット上でも信頼と関心を得ることができる。WEBサイトやブログの運営に慣れた人の協力が不可欠。
チラシ配布・貼り紙すぐに実行でき人の目に触れやすい。気に留めてくれる人の割合は決して多くはない。

このようなメリット・デメリットを理解した上で、広告活動を進める必要がありますが、実際にはなかなか思うように見込み客が集まるとも限りません。

現実的に考えれば、親類や友人知人の中で不動産売買に関心のある人を見つけ、直接取引に入るケースが中心となってくるでしょう。

売買契約書をどうやって作るか

もし、不動産を買いたい・売りたいという相手が見つかったら、いざ売買契約に入ることになります。スムーズに取引を進めるためにも、予め売買契約書は作っておいた方が安心です。

インターネットで検索すれば、どのような書式で作成すれば良いかはわかりますが、注意したいのは諸々の記載事項です。

法的な取引になりますし、かなり専門的な分野でもありますから、自力で調査・作成する中で限界にぶつかることも考えられます。

不動産会社を通した取引であれば、プロが作成・使用する契約書面を使い安心して取引を進められますが、個人では、不利な条件を記載してしまったり必要な法的事項を見落としてしまったりするリスクも起こりえます。

個人取引を検討している人は、そのようなことも想定した上で、慎重に慎重を重ねて取り組まなければなりません。

個人による取引の必要書類

こざかな生徒
こざかな生徒

個人の取引ではどんな書類が必要になるのでしょうか?

不動産取引では、売主側が不動産売却のために必要書類を集めなければなりません。これは個人取引であっても変わらず、以下のような書類の用意が求められます。

クジラ先生
クジラ先生

売主側の不動産売却のための必要書類

必要書類書類の詳細
身分証明書売主本人であることの確認として。運転免許証やパスポート等
印鑑証明登記関連書類への押印には実印が使われるため
登記済権利証登記名義人と不動産所有者が同一であることを証明する
地積測量図・境界確認書所有する土地の境界線や面積を証明する
固定資産税納税通知書1月1日時点での土地所有者に対する課税書類

個人売買で必要になる経費とは

不動産取引を個人で進める場合でも、各種の税金や手数料の支払いが必要になります。

売買契約書には印紙の貼付が必要ですが、取引する不動産の売買価格によって印紙税の額も変わってきます。

契約書は売主と買主が1通ずつ原本を持つため、それぞれが印紙税を払って印紙を契約書に貼付することになります。

また、取引が成立すると不動産の所有権が以降しますので、固定資産税評価額の2%に当たる額を登録免許税として買主が支払います。

なお、2021年末までの間は1.5%の軽減率が適用されます。

不動産の所有権移転については司法書士にその手続きを依頼することになり、一般的に2万円~3万円ほどの手数料を支払うことになります。

取引不動産に売主の住宅ローン残債がある場合、金融機関による抵当権がついていますから、まずはローンを完済した上で1筆約1,000円かけて売主自ら抹消手続きを行わなければいけません。

不動産を個人売買するメリットとデメリット

個人売買のメリットとは

不動産を個人売買する最大のメリットは、先に説明した不動産会社への仲介手数料がかからない、という一点に尽きます。

取引する不動産の規模にもよりますが、数万円~数10万円以上もの費用を節約できる点は、売主と買主にとって大きな魅力です。

例えば2,000万円の物件を取引した場合、不動産会社に支払うべき仲介手数料は、200万円までの部分に対してその5%である10万円が、200万円から400万円までの部分に対してその4%である8万円が、さらに残る1,600万円に対してはその3%の48万円がかかり、合計で税抜66万円にものぼるのです。

この経費を支払わなくて良い点は、個人売買が関心を集める理由の1つだと言っても良いでしょう。

個人売買のデメリット-契約関連書類の作成

一方、個人間で不動産売買を行うことには、いくつかのデメリットがあることを知っておかなければなりません。

例えば、売買契約書や重要事項説明書の用意が代表的な例として挙げられるでしょう。

不動産会社が仲介する取引の場合、宅地建物取引業法に基づいて両書面を用意し、宅地建物取引士による署名捺印を受けた上で重要事項の説明を行うことが義務となっています。

しかし、個人間取引ではこのような義務付けはありませんので、極端な話、売買契約書や重要事項説明書を用意せず口約束だけで取引を成立させることも可能なのです。

ただし、不動産という大きな取引に置いて大切な取り決めを書面化せず、不具合等を含めた不動産の重要事項についてきちんと説明しないことは、後のトラブルをも招きかねません。

このため、個人で取引を行う場合は、専門家である不動産会社と同等の知識を得た上で慎重に書類を作成し、慣例に則って取引を進めることが必要なのです。

個人売買のデメリット-瑕疵担保責任の履行

個人間取引だからこそ決して曖昧にしてはいけないのが、瑕疵担保責任を売主がいかに誠実に実行するかという点です。

瑕疵(かし)とは
目に見えない不具合のことを指し、中古住宅の場合ならば水回りの不具合や構造上重要な部分の劣化、当該不動産において事件事故が起こった事実の告知や周辺地域の環境に至るまで広範囲に渡ります。

売主にとっては、瑕疵を明らかにするほど売却価格を下げなければいけないことになるので、できれば曖昧にしておきたくなる部分でもあるのです。

しかし、買主にとっては後に説明するような大きなリスクやトラブル原因にもなりかねませんので、売主は誠意を持って正直に瑕疵を伝える必要があります。

個人売買のデメリット-ローンを組みづらい

不動産購入に際し、買主は一般的に住宅ローンを利用する傾向が非常に高いと言えます。また、住宅ローンを利用するためには、金融機関による審査を通過しなければいけません。

不動産会社を介した取引の場合、取り決めが詳細に明記された売買契約書はもちろん、宅地建物取引業法に基づき宅地建物取引士が署名捺印した重要事項説明書も作成されるため、金融機関に対する信用度も高く、ローンに通りやすいと言えます。

この点において個人間取引では、書面を作成したのが専門家ではないことや個人であることから信用度が低いと見なされやすく、融資を受けにくい可能性も出てくるのです。

個人売買におけるリスクと注意

瑕疵担保責任は買主にとってのリスクでもある

瑕疵担保責任とは
不動産を購入する時点では知りえなかった不具合について、売主が負うべき責任のことを言います。

例えば、建物の基礎部分にひびが入っていたり、水回りに腐食が見られたりといったことが該当します。

売主自身が知らなかった瑕疵についても責任は発生しますので、その欠陥の状態によっては、買主による損害賠償等もあり得るのです。

ただし、買主が売主に対して瑕疵担保責任を追及できる期間には定めがあり、買主自身が瑕疵を知ってから1年間とされています。

また、個人間取引の場合は、双方の話し合いの際に期間を自由に設定することもできるので、築年数が浅いか古いかによっても期間の長さが変わってくると言えます。

万が一、売主が瑕疵を知りながらその事実を隠していた場合は、買主が気付いた時点で瑕疵担保責任が発生します。この時、契約内容の如何は関係ありません。

買主自身の情報収集も大事

不動産の個人売買において、検討時点から重要な情報源となってくれるのは売主です。各種の調査書類や周辺環境情報等、信頼できる情報を伝えてくれるものです。

だからといって買主が売主任せになってしまうと、物件の相場が適正なのかわからなかったり、瑕疵等の専門用語が理解できなかったりして、正しい判断をしかねることも考えられます。

正しい判断をしかねるということは、買主が損をしてしまう可能性が高くなるということでもあり、リスク化してしまうかもしれないのです。

だからこそ、買主の話をスムーズに理解し必要な質問を的確に行うためにも、買主自ら十分に情報収集して常に知識を更新しておくことがとても大切です。

住宅ローン審査に備えて重要事項説明書の用意を

不動産購入に際して、多くの買主は住宅ローンを利用することが多いと言えます。

住宅ローン利用時には重要事項説明書が必ず必要なので、売主からもらった書類はなくさず保管しておきましょう。

一方、重要事項説明書を作成できるのは、宅地建物取引士の資格を持つ人だけなので、売主は個人売買を支援してくれる不動産会社の力を借りる等して、重要事項説明書をきちんと用意しておく必要があります。

買主はじっくりと内覧することが大事

不動産会社を通した不動産購入では、不動産の専門家がしっかりと内覧を行って、物件の不具合等をチェックしてくれます。このため、買主はいわゆる瑕疵を含めて見落とすことが少なくなり、より納得度の高い取引を行うことができるのです。

しかし、個人売買で不動産を購入しようとする場合、内覧は買主本人が自ら行わなければなりません。

家を購入する場合は、特に水回りやシロアリ被害の確認、外壁のヒビ、日当たりや地盤、接道状況や周辺環境については丁寧に見ておく必要があります。

不動産のデメリット部分は明らかにする

売主としては、購入して欲しいと思うあまり、不動産が抱えるデメリット部分をどうしても控えめに伝えやすい傾向があります。反面、メリット部分は十分にアピールし、買主の購買意欲に働きかけようとするのです。

しかし、買主の立場を考えれば、最も重要なのは失敗しない買物をすることに尽きますので、誠意を持って不動産のデメリット部分もきちんと明らかにするように努めましょう。

同時に、見込み客に魅力的だと感じてもらうためには、予め建物の傷みや腐食を修繕しておき、値引き交渉の確率を下げておくことも大事です。修繕しておけば買主にとっても良い買物になり得るので、値引き交渉の確率も下がることが考えられます。

また、内覧中に買主側からいろいろな質問が来ることになりますが、どのようなことでもできる限りしっかりと正直に回答することも大切です。

不利になることを恐れてデメリットを隠したりすることは、信頼関係に関わるのでお勧めできません。メリットもデメリットも等しく全てを伝えることが、見込み客から購入者に変わってもらうための重要なポイントになってくるのです。

値下げ交渉にはできるだけ応じる

中古住宅は、築年数が重なるほど市場価格が安くなる傾向にあります。このため、家を手放すことを決めたら、できるだけ早い段階で売却のための動きを取ることが大切です。

あまりにも古すぎる物件や傷みがひどい物件等の場合は、まともな価格で売りに出しても買い手が見つからないことも考えられます。

だからこそ、もし興味を示してくれる見込み客が現れたら、その価格交渉には柔軟に対応する姿勢を見せることも大切なのです。古くても傷みがあっても、価格面で折り合いが付けば買っても良いという相手なのですから、こういった場合、売主は価格にあまり固執しすぎないようにしましょう。

1番良いのは、予め、ここまでなら価格を下げても良いという幅を決めておくことです。最低ラインを決めておけば、相手との交渉をよりスムーズに進めることができます。

クジラ先生
クジラ先生
こざかな生徒
こざかな生徒

なるほどです!

売主側によるトラブル回避行動ポイント

売主は物件の相場をしっかり把握すること

トラブルを回避するために売主ができることはいくつもあります。その中から代表的なものを挙げるとすれば、予め物件の相場をしっかり把握しておくことだと言えるでしょう。

自分が所有する不動産ですし、できるだけ高値で売りたい気持ちは必ず存在するものですが、市場は相場を基準にして動くのです。

ですから、所有不動産と似たような条件の物件をできるだけ多くチェックし、その価格相場を把握しておくことは非常に大切です。販売価格を決める際だけではなく、価格交渉に入ったときにも適切な対応ができるからです。

契約関連書類は一通り揃えておくこと

不動産を売却することが目的ですから、契約に必要な書類は一通り揃えておくことが大切です。不動産の設計図をいつでも出せるようにしておき、測量もプロに依頼して必ず行っておきましょう。

見込み客たる買主は、物件情報をできるだけ得たいと考えています。大きな買物をするからこそ不安や疑問を常に伴っているのです。

だからこそ、買主側にできるだけ安心材料を提供できるよう、契約に関わる書類は一通り揃えてから不動産の販売をスタートさせることが重要なのです。

特に、瑕疵担保責任については、きちんとその責任追及期間を示しておきましょう。

買主側からの瑕疵担保責任追求が可能な期間は、民法では瑕疵を知った時から1年間とされているものの、個人間取引では任意の期間を設定することができるので、双方協議の上で決める旨を予め相手に伝えておくことも重要です。

現地確認と内覧は買主と一緒に行う

内覧時には、売主は必ず見込み客たる買主に同行するようにしましょう。そうすることで、買主は建物や周辺環境等についてすぐ質問することができますし、その場で疑問を解決しやすくなるので、安心感に繋がりやすくなります。

1つ1つの不安や疑問に答えていくことは、トラブル防止策としても大変有効なので、現地確認したいと相手から要望があった時は、ぜひ売主が立ち会いましょう。

その際、よどみなく回答あるいは交渉に対応できるように、販売前から当該物件について自ら十分な情報を確保しておくことが大切です。

契約から登記手続きを一連の作業として行う

契約時したら、必要なお金を支払ってもらい物件を引き渡すことになりますが、できれば所有権移転登記の手続きまでを一連の作業として行うようにしましょう。登記に関する手続きは司法書士の協力が必要ですので、契約時から立ち会ってもらい、決済を確認してもらうと同時に必要書類を司法書士に預け、そのまま登記手続きに入ってもらうとスムーズです。

瑕疵発見に備えて連絡先を必ず共有

内覧時には売主さえ知り得なかった瑕疵が、後々買主によって発見されることがあります。

個人間取引では任意の責任追及期間を設けることになりますので、これに従い必ず連絡が取れるよう電話番号やメールアドレス等を共有しておくようにしましょう。

必要に応じて修繕や賠償を行う可能性も出てきますから、売主と買主が互いに連絡が取れないといった状況は作らないように努めることが大事です。

なぜ個人間の不動産売買ケースは少ないのか

不動産仲介手数料が必要ない個人間の不動産売買は、決してニーズがないわけではありませんが、実情としては不動産会社の仲介取引の方が圧倒的に多いと言えます。

売主及び買主ともに、不動産という法にも関わる非常に複雑な分野での売買を、個人間で行うことに大きな不安を抱いているからに他なりません。トラブル発生の可能性を踏まえても、専門家である不動産会社が間に入っていた方が圧倒的に安心だからとも言えます。

多額の金額の授受が発生する取引ですから、ひとたびトラブルが起きれば長期化あるいは深刻化しやすいことも事実です。専門家である不動産会社が関与することで、トラブルを防ぎ問題を解決しやすくなることも、個人間取引が少ない理由の1つだと言えるでしょう。

まとめ

個人間取引は仲介手数料が発生しないメリットがあるものの、様々なデメリットやトラブルの可能性も否定できず、不安要素が大きいのが実際のところです。

特に買主にとっては、大きな買物となる分、売主や当該物件をどこまで信用できるか、リスクも含めて慎重に検討し結論を出さなくてはなりません。

双方あるいはどちらかが不動産の専門家であることは珍しいことからも、個人間取引がなかなか広まらないのは不自然なことではないと言えます。

また、見込み客を集める作業、あるいは物件を提供してくれる売主を探す作業は、個人で行うにはなかなかに難しく、結局のところ親族や友人知人間による狭い範囲での取引が主体となっていました。

しかし、昨今では個人でも登録すれば物件情報を公開閲覧できるようになり、個人間取引をサポートする会社も目立つようになってきました。

弁護士や司法書士に依頼して補助してもらう方法も含めれば、個人間取引の安心度を高めることも決して不可能ではないと言えます。

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