改定後の契約不適合責任とは?瑕疵担保責任と特約免責をわかりやすく解説 | 鯨鑑定士の不動産売却・投資
改定後の契約不適合責任とは?瑕疵担保責任と特約免責をわかりやすく解説

改定後の契約不適合責任とは?瑕疵担保責任と特約免責をわかりやすく解説

2020.10.28

2020.10.28

17 views

    SHARE :

瑕疵担保責任から契約不適合責任に変わり、売主の負担が重くなりました。

これまでは瑕疵という曖昧な概念が基準となっていたため、少なからず逃げ道があったと言えます。
しかし契約不適合責任では、契約書に記載されているかどうかで判断します。
問題点をきちんと特約免責しておかないと、契約不適合責任を問われることになるのです。

買主の請求権も増えており、売主が責任を負わなければならない範囲も広がっています。
よって瑕疵担保責任と契約不適合責任の違いをきちんと把握することが大事です。

法律用語も多く理解が難しい点もありますが、契約不適合責任について分かりやすく解説します。

瑕疵担保責任の内容をおさらい!なぜ契約不適合責任へ変わるのか

これまで不動産売却時には、売主に瑕疵担保責任が課せられていました。
しかしおおよそ120年ぶりとなる民法改正により、瑕疵担保責任は契約不適合責任へと変わります

2020年4月より契約不適合責任となりますが、まだ施行間もないため広く普及はしていないかもしれませんね。

単に名称変更となるだけでなく、当然ですが内容も大きく変わるためまずは違いを把握しなければなりません。
特に今回の改正により、売主の負担が増しているため注意が必要です。

まずは改正前の瑕疵担保責任とはどんな内容なのか、見ていきましょう。

瑕疵担保責任は隠れた瑕疵の有無が争点

瑕疵担保責任は、目的物に隠れた瑕疵があった際に、買主は売主に対して責任追及できる制度です。
要は買い手保護を目的としています。

瑕疵とは少しわかりにくいですが、傷であったり不具合などが該当します。

不動産の状態を100%把握したうえで購入するのは難しいです。
不具合が生じていないか内覧時などに充分確認したとしても、目に見える範囲しか分かりません。
そして厄介なことに、不動産の不具合は後々気づくケースが多いです。

たとえば目に見えない基礎部分の欠陥など、買主がその場で見つけるのは不可能でしょう。
それどころか売主さえ瑕疵の存在に気付いていないかもしれません。

把握していなかった瑕疵を後から買主が発見した際に、瑕疵担保責任が適用できます。

瑕疵担保責任とは
こざかな生徒
こざかな生徒

不具合を事前に売主が把握していた場合はどうなりますか?

それはもはや瑕疵ではありません。買主への事前告知義務があります

クジラ先生
クジラ先生
こざかな生徒
こざかな生徒

告知していなかった場合にはどうなるのでしょうか?

瑕疵担保責任より重い責任を問われる可能性がありますね

クジラ先生
クジラ先生

瑕疵に該当するものは何?

瑕疵担保責任の概要が分かったところで気になるのが、どんなものを瑕疵と指すのかです。
先ほど不具合や傷と説明しましたがこれでは曖昧なため、具体的に補足していきます。

不動産売買における瑕疵として、よくあるのが以下です。

  • 雨漏り
  • 構造上主要な部位の腐敗
  • シロアリによる被害
  • 給排水管の故障

雨漏りは実際に居住部まで漏れていたり、雨漏り痕が残っていれば見学時に気づくことができます。
しかし被害がそこまで大きくない場合、発見が遅れるケースもあります。

また構造上主要な土台などは外壁内部にあたるため、直接見て確かめることができません。

シロアリ被害も玄関ポーチなど分かりやすい部分だけ被害に合うとは限らず、むしろ内部に侵食しているケースが多いです。

給排水管は築年数経過と共に劣化していきますが、外見は綺麗でも意外と中が腐敗していたりします。

また建物の瑕疵だけではなく、土地にも瑕疵が生じる場合があります。

代表的な例としては土壌汚染や地盤の軟弱化です。

これらが不動産売買において責任追及される、メジャーな瑕疵になります。

瑕疵担保責任で請求できる権利は2つ

瑕疵担保責任で買主が売主に対して請求できる権利は次の2つです。

  • 損害賠償請求
  • 契約解除

たとえば物件引き渡し後に、雨漏りが生じていることに気が付いたとします。
その際に買主は修理などの対処を求めることができますが、それに応じて貰えなかった際には損害賠償請求をすることになります。
売主側は雨漏りによって生じた被害額を、支払わなければなりません。

とはいえ瑕疵担保責任における損害賠償請求は無過失責任です。
つまり売主側に責任が合ってもなくても、瑕疵が発生していた際には損害賠償請求されることになります。

瑕疵として問えるのは、注意して見たにも関わらず発見できなかったものに限ります。
よって前述した雨漏りやシロアリ被害などが主な対象です。

もう一つ、買主側は瑕疵によって目的が達せられない場合には、契約解除を求めることも可能です。
要は、基本的に買主が請求できるのは損害賠償請求ですが、もし約束が果たされない時は合わせて契約解除もできるわけです。

瑕疵担保責任の期間は?

目に見えない瑕疵が生じていた際に、買主は売主に対してその責任を問えるのが瑕疵担保責任です。
とはいえいつまでも延々と責任追及ができる訳ではありません
それではあまりにも買主優位となってしまいます。

よって責任を問える期間も民法できちんと定められていて、その期限は発見から1年以内です。

しかしこの定義にも少し問題があります。
たとえば入居から35年経過してから、瑕疵を発見したとしましょう。
その際にも責任を問えるのかと考えると、やはり売主側の負担があまりにも大きいです。
よって発見から1年以内という規定はありますが、現状は少し異なります

不動産会社から購入した場合と個人売買でも話が変わるため、両方のケースを紹介します。

不動産会社から購入した場合

上述のように引き渡しから1年以内ならいつまでも責任追求できるという事態を防ぐため、引き渡しからの期間も定められています。
その期間は2年以内です。

よって瑕疵を発見してから1年以内かつ引き渡し後2年以内の両方に該当する時しか、買主は瑕疵担保責任を問えません。

なぜ引き渡しから2年以内なのかと言いますと、宅地建物取引業法にて定められているからです。
ゆえに不動産会社は物件を売却する際に、引き渡しから2年間という縛りを加えることができます。
もちろんこれは最低2年ということですので、不動産会社独自の配慮で2年以上に引き延ばすことも可能です。

とはいえ、瑕疵担保責任を受け続けるのも不条理な話ですから、ほとんどの不動産会社が2年と設定しています。

このようなルールが存在するため、不動産会社は勝手に2年よりも期間を短くしたり、そもそも瑕疵を問わないといった特約を付けることはできません。

個人売買の場合

個人間における売買の場合は、不動産会社の場合と少し期間が異なります。
期間について特別な決まりはなく、買主と売主の合意で定めることが可能です。
そのため例えば半年でも2年でも、当事者が納得すれば自由に設定できますが、通常では引き渡し後3か月となるケースが多いです。

また売主の瑕疵担保責任そのものを無くする、全部免責とすることもできます。

売主と買主は基本的に利益相反の関係にあります。
売主としては少しでも責任が生じる期間を短くしたいですし、買主としては出来るだけ長く保証を求めたいところです。
よって中古物件の売買時はお互いが妥協点を探っていく形となります。

たとえば全部免責にして貰う代わりに売買代金の値下げをおこなうなど、ギブアンドテイクによって取り引きは成り立ちます。

瑕疵担保責任による契約解除を防ぐには?

契約不適合責任へと変わる理由

ここまで瑕疵担保責任の概要に関して詳しく見ていきましたが、今回の民法改正によって契約不適合責任へと変更されました

なぜ変更となったのかと言いますと、瑕疵担保責任が現代の考え方と合っていないからです。

昔の法律は度々時代遅れとなることがあります。
現代の習慣にそぐわない法律がそのまま残っていると、思わぬトラブルを発生しやすくなるため、それを正すための改正です。

では契約不適合責任に変わる理由について、もう少し深堀して見てみましょう。

そもそも瑕疵という概念が分かりにくい

そもそも瑕疵という言葉自体馴染みがあるものではありません。
読み方すら分からないという人も少なくないはずです。
よって瑕疵と言われてもピンとこないため、どんな責任が生じるのか一般人にとって把握しにくいです。

また瑕疵担保責任は隠れた不具合などがあった際に、売主が責任を負う制度です。

ここで問題なのが、何を持って隠れたとするかです。

本当に売主が気づいていなかったのかどうか確かめようがないため、結局買主が泣き寝入りするパターンもありました。

極論を言えば、隠れていなければ責任を負う必要がありません
よって見学時にでもサラッと告げていた場合、問題がないことになってしまうでしょう。

契約不適合責任へと変更になるのは、このような曖昧さをなくす目的があります。

国際的基準に近づけるため

より分かりやすくするのと同時に、国際的基準に近づけるのも理由の一つです。
以前までは、日本人同士の不動産売買がメインでした。
それがグローバル化に伴い、近年では当たり前のように外国人の購入者も大勢います。

それどころか、外国人同士で売買する事例も増えてきました。

その際に、瑕疵という曖昧さはやはり問題になります。
日本人の基準と外国人の基準が同じではないため、瑕疵に該当するのかなど外国人にとって考えにくい部分がありました。

よって日本人だけでなく、外国人にも理解しやすくするためというのも目的です。

契約不適合責任とは?瑕疵担保責任との違い

では契約不適合責任になって、どのように変わったのかを見ていきましょう。

瑕疵担保責任の時と比べると、非常にシンプルになっています。

責任が生じるかに関して、瑕疵の有無ではなく契約内容との相違で考えるようになりました。
また請求できる権利が増えたのも、大きな違いでしょう。
権利行使期間に関しても、若干の変更があります。

新しくなった契約不適合責任の内容について、瑕疵担保責任との違いを重点的に見ていきましょう。

大きな違いは契約内容に合致しているかどうか

瑕疵担保責任では、瑕疵の有無が争点でした。
この瑕疵が本当に隠れていたものだったのかという部分が非常に分かりにくく、責任を明確にしにくいという問題点がありました。

一方契約不適合責任の場合は、契約内容と一致しているかで判断します。

つまり契約書に書いてある内容と、現況が異なっている場合は買主が責任を問うことが可能です。

具体例を出すと、100m2の土地と書かれていたのに99m2しかない場合などです。

契約書と適合していなければ責任を負う必要があるという、客観的に判断しやすい考え方がベースになりました。
基となる考え方が変わったのと同時に、細かなルールに関しても変更となっています。

瑕疵担保責任と契約不適合責任の違いについて、下記の表をご参照下さい。

項目瑕疵担保責任契約不適合責任
法的性質法的責任契約責任
要件隠れた瑕疵で判断瑕疵ではなく契約書の内容で判断
損害賠償請求帰責事由不要帰責事由が必要
損害賠償の責任無過失責任過失責任
損害の範囲信頼利益履行利益
不特定物不適用適用
免責特約有効有効

法律用語が多く分かりにくいですが、ガラリと異なっていることは把握できるかと思います。

契約不適合責任とは?

それぞれの違いについて、見ていきましょう。

契約不適合責任は不特定物も適用

瑕疵担保責任では責任対象の範囲は特定物に限られていましたが、契約不適合責任では不特定物にも責任を負わなければなりません。

では不特定物とは何かと言いますと、代替品が用意できるものです。

分かりやすく言いますと、家電が例に挙げられます。
家電の場合、もし故障が生じたとしても、同じメーカーの同じ品番で新しいものを用意することが可能です。

逆に替えの利かない唯一無二のものは、特定物となります。

瑕疵担保責任では特定物に対しての責任を負うというのが、有力な考え方でした。
その理由として、目的物の所有権を買主に渡した時点で義務を果たしているという考えが根本にあるからです。
一方、この考えですとどんなに状態の悪い物件でも渡してしまえば良いということになります。

よってそれを防ぐための瑕疵担保責任になりますが、現代の不動産において、特定物と不特定物の線引きを明確にすることは難しいです。
そこで契約不適合責任では、特定物そして不特定物関係なく、契約内容と一致しているかどうかという点で判断されます。

不適合の期間も変更

契約不適合責任における瑕疵とは、原始的瑕疵のみに限定されていました。
分かりやすく言いますと、契約時点までに生じていた瑕疵のみ責任を負うということです。

一方契約不適合責任となることで、契約履行までに生じた瑕疵に変わります。

不動産売買における契約履行とは、物件引き渡し時です。

よって不適合の期間が少し長くなったと捉えることができます。
責任の及ぶ範囲が広がるため、やはり売主の負担が重くなっています。

契約不適合責任で買主が請求できる権利

瑕疵担保責任では、買主が請求できる権利は以下の2つでした。

  • 損害賠償請求
  • 契約解除

それが契約不適合責任となり、追完請求代金減額請求も可能になっています。
分かりやすくまとめると、下記の表の通りです。

瑕疵担保責任契約不適合責任
損害賠償請求(信頼利益のみ)損害賠償請求(履行利益も含む)
契約解除契約解除
追完請求
代金減額請求

瑕疵担保責任では2つの権利しかなかったため、柔軟な対応が取りにくいという背景がありました。

そこでもう少し柔軟に対処できるよう、選択肢が増えたのも今回の改正におけるポイントです。

ではそれぞれの権利について見ていきましょう。

追完請求

契約不適合責任となり新たに加わったのが追完請求です。

追完請求は、契約不一致があった際に、改めて完全な状態にするよう求められる権利です。

例として分かりやすいのが個数です。
契約書に100個と書かれていたのに99個しかない場合、残りの1個も渡すよう請求するのは当然です。

ただし不動産の場合、新たな不動産を提供するということはできません。
特定物だからです。
ゆえに追完請求では数量の追加ではなく、不動産の修理修繕を求めるのが一般的です。

たとえばシロアリ被害なしと書かれていたのに被害が発生していた場合、修理してもらうことになります。

従来の瑕疵担保責任ですと、そもそも瑕疵だったのかどうかを論争しなければなりません。
そのためスムーズに修理を請求することができず、買い手側が損失を被るケースもありました。

今回の契約不適合責任では、瑕疵かどうかは関係ありません。
契約書に記載されているかという点が全てです。

よってもし不具合がある場合には、きちんと買主の了承を取り契約書に明記することが大事です。

代金減額請求

追完請求を履行してもらえない時、買主は代金減額請求をおこなうことができます。
不動産の場合、修理を求めたとしても必ず直せるとは限りません

たとえばシステムキッチンの修理を求めたけど、すでに同品番の販売が終了しており、別種別にも同規模の商品がないため交換に応じられないことがあります。
他にも替えの利かない部品を使用していたため、同じように修理ができないというケースは普通に想定できることです。

そのため修理不可能な場合は、減額請求によって金額を差し引いてもらう権利が与えられています。

また修理できない時だけではなく、そもそも修理に応じてもらえない場合も代金減額請求可能です。

つまり最初におこなうのは追完請求で、果たされない場合は代金減額請求をおこなうプロセスとなります。
ただし確実に修理不能ということがあらかじめ分かっているケースでは、追完請求の段階を飛ばして代金減額請求してもよいです。

ちなみに追完請求と代金減額請求は、帰責事由なしです。
売主に過失がない場合でも、買主は責任追及できます。

契約解除

契約不適合責任では瑕疵担保責任と同様に、契約解除をおこなうことが可能です。

ただし瑕疵担保責任の場合の契約解除は、目的を達せられない時のみと限定的でした。
一方契約不適合責任では少し範囲が広がっています。
大きな違いとしては催告解除も認められるようになった点です。

買主が追完請求をした際に、売主が応じなかったとします。
その場合代金減額請求をすることができますが、それに代わり催告解除を請求することも可能です。

つまり修理を依頼したが応じて貰えない時は、不適合分の減額を求めることもできるし、契約解除を申し出ることもできるわけです。

ただし履行の期限は相当な期間を設定する必要があります。
また社会通念上軽微な場合の契約解除は認められません。

契約解除についても帰責事由なしのため、過失の有無に関係なく条件が合致した際には契約解除される可能性があります。
契約解除が認められれば契約が白紙に戻るため、売主は代金返還を余儀なくされます。

損害賠償請求

契約不適合責任でも、瑕疵担保責任の時と同様に損害賠償請求ができます。
損害賠償とは相手が被った不利益に対する賠償のことで、慰謝料も含まれます。

ただし瑕疵担保責任における損害賠償請求と契約不適合責任における損害賠償請求は、少し意味合いが異なります。
瑕疵担保責任の時は無過失でも損害賠償請求できましたが、契約不適合責任では過失がある場合のみです。

よって売主に明らかな落ち度があったり、故意による場合でないと、損害賠償請求はできません。

たとえば雨漏りの被害が生じているのを確認していたにも関わらず、それを隠した上で販売したケースなどがあげられます。

過失がある時のみに限定されたことで、この部分に関しては少し売主の負担が軽減されました。

契約不適合責任で買主が請求できる権利

損害賠償請求は履行利益も追加に

契約不適合責任における損害賠償請求は過失がある場合のみに限定されましたが、賠償しなければならない範囲は広がりました。
従来の範囲は信頼利益にとどまっていましたが、契約不適合責任では履行利益も追加になっています。

信頼利益とは、その契約が有効である前提で行動したことによって生じた被害です。

たとえば不動産売買契約が成立した場合、登記費用を支払ったり資材購入などを実施するでしょう。
しかし契約が無効となってしまうと、そのような支払いは無駄金となります。
この損害は信頼利益に該当し、要は簡単にまとめると払わなくて済んだお金のことです。

一方履行利益はもう少しスケールが大きくなります。

契約後に得られたであろう利益のことで、たとえば転売益などを指します。
つまり将来的に受け取れるはずだったお金です。

契約不適合責任では履行利益が追加となったため、損害賠償額が増える可能性があります

権利行使の期間も変更

瑕疵担保責任から契約不適合責任へ変わったことで、権利行使の期間も変更になりました。
最初の項にて、期限は瑕疵を発見してから1年以内と解説しています。
ここで気になるのが、1年以内に何をおこなえばよいのかです。

瑕疵担保責任の時は1年以内の権利行使が必要だったため、具体的に損害賠償請求などの行動に移さなければなりませんでした。

一方で契約不適合責任は、売主への通知だけで問題ありません。

契約内容と適合していないことに気づいた日から1年以内に通知すれば、権利行使は1年経過しても良いということになります。

権利行使までおこなう必要がなくなったため、やはり買主の負担は軽くなり売主負担が増える形です。
1年間という期限は設けられていますが、買主が故意に隠していた場合など、重過失がある際にはこの限りではありません。

1年以内に通知さえおこなえば、権利行使は何十年先でも大丈夫というわけでもないです

クジラ先生
クジラ先生
こざかな生徒
こざかな生徒

どういうことですか?

権利行使の消滅期間が定められてます。権利行使できることを知った日から5年以内に実行に移す必要があります

クジラ先生
クジラ先生

契約不適合責任における特約免責と注意点

瑕疵担保責任と契約不適合責任の内容が分かったところで、次は特約免責について解説していきます。

特約とは通常の契約内容以外に、当事者間で定めておく特別な約束事です。
特約免責を付けることで、本来なら負わなければいけない責任も免れることができるようになります。

また、契約不適合責任へと変わったことで、従来とは異なる注意点がいくつかあります。
売却するうえで余計なリスクを負わないためには、特約免責の果たす役割が大きいです。

特約免責の内容と、契約不適合における注意点を見ていきましょう。

瑕疵担保責任も契約不適合責任も任意規定

まず、瑕疵担保責任も契約不適合責任も、任意規定に該当します。

任意規定というのは、当事者同士の合意が優先される規定です。
つまりベースとなる法規制はあるものの、当事者間で特別に設定を設けた場合には、そちらの適用が可能になります。

反対に当事者の合意よりも、法律の規定が優先されるものは強行規定と呼ばれます。
その場合には当事者間で約束事を交わしていても無効となり、法の規定に従わなければなりません。

強行規定は社会秩序を守ることを目的としています。
たとえば当事者間で合意があれば、AさんがBさんに暴力を奮ってよいことにはなりません。
強行規定がないと、当事者間で納得さえしていればやりたい放題です。

それを防ぐために強行規定というものが存在しますが、今回の瑕疵担保責任及び契約不適合責任は任意規定になっています。

よって当事者間同意の下で、契約内容に変更を加えることが可能です。
特約で免責事項を自由に設定しても、問題ありません。

宅建業者の場合における特約免責

ただし特約免責を付けることができるのは、個人同士の売買に限ります
売主が宅建業者の場合は、特約を付けて勝手に責任を免除することはできません。

これは消費者保護を目的としています。

個人同士の売買であれば、契約の変更は対等な立場でおこなっているものと考えられます。
一方で相手が宅建業者のようなプロですと、パワーバランスが崩れます。
明らかに消費者が不利となる契約を結ばされるリスクがあるため、それを抑止する必要があるでしょう。

そのため宅地建物取引業法において、引き渡し後2年間は契約不適合責任の追及ができるよう定められています。
もし宅建業者が勝手に特約免責をつけたとしても、それは無効です。

尚、売主が宅建業者で買主も宅建業者の場合は、特約をつけることができます。
個人同士の売買と同様に、プロ同士の売買ですから、たとえ損害を被ったとしても自己責任という考えができるからです。

目的物を明確にし特約内容を記載する

契約不適合責任では、契約書に書いてる内容と相違はないかどうか、が全てです。
よって物件の不具合などは口頭で伝えるだけでなく、きちんと書き出しておく必要があります。

特約と容認事項を記載できる項目が設けられていますので、そちらに全部記載しましょう。

その際の注意点として、目的物をはっきりとさせることです。
トラブル回避のためにも曖昧な表現は使わず、目的物とは何を指すのか明記しなければなりません。

また、設備に関しては特約において全部を免責対象としておいた方が無難です。

不動産売却時の対象物には設備も含まれます。
設備の耐用年数はそれほど長くないため、売却時に既に不具合を抱えている可能性が高いです。

契約書に明記しないと、設備に関しても責任を負うことになります。
そうなるとあまりにも不利ですから、設備の責任は負わない旨を特約に追加しましょう。

こざかな生徒
こざかな生徒

免責したい事項を全て書き出すことが大事なんですね

そうです。ただしあまりにも免責事項が多いと物件の売れ行きに影響が出る可能性があります

クジラ先生
クジラ先生
こざかな生徒
こざかな生徒

売れにくくなるんですか?

縛りが少ない物件の方に流れる可能性はありますね。よってどこまで自分が責任を負うか、バランスが大事になってきます

クジラ先生
クジラ先生

個人間売買での代金減額請求権条項に関して

契約不適合責任における請求権の一つに、代金減額請求がありました。
この代金減額請求権には、少々厄介な問題が潜んでいます。

それは代金減額請求権を行使することと、契約解除及び損害賠償請求を行使することの両立し得ないという見解が広まっている点です。

どういうことかと言いますと、代金減額請求は契約内容を肯定した上でおこなうものです。
その一方で契約そのものを否定する契約解除も実行するのは、矛盾が生じます。
また代金の減額を持って、すでに損害を賠償しているのではないかという説もあります。

この問題について、現段階では結論が出ていません。

今後さまざまな判例を踏まえて、両立し得るかどうか決まっていくでしょう。
もし両立し得えないとなった場合、最初に代金減額請求をしてしまうと、その後契約解除及び損害賠償請求ができなくなる恐れがあります。

よって現段階では、予防線を張った契約書作成をおこなう必要があります。

たとえば、どこまでを代金減額の対象とするか基準を設けておいたり、そもそも代金減額請求権は含めないという方法もあります。

事前のホームインスペクションが望ましい

契約不適合責任では、不具合があってもきちんと記載されていれば売主に責任追及されることはありません。

そのために物件の状態をしっかりと把握しておくのが望ましいです。
物件の状態把握は素人では難しいため、事前にホームインスペクションを実施しましょう。

ホームインスペクションは、専門家によって構造上主要な部分や基礎部分に不具合が生じていないか、調査してもらうものです。

こちらを実施することでしっかりと物件における問題点を把握できます。
そしてホームインスペクションの内容をきちんと記載しておけば、問題点を免責できるため売主の負担は少なくなります

ホームインスペクションを利用が有効
こざかな生徒
こざかな生徒

ホームインスペクションの金額はどれくらいですか?

相場では木造住宅で5万~6万、マンションでは5万前後ですね。調査内容などによっても多少変わってきます

クジラ先生
クジラ先生
こざかな生徒
こざかな生徒

それほど高くはないですね

必要経費と捉え、実施しておいた方が無難です

クジラ先生
クジラ先生

心理的瑕疵の告知も忘れずに

瑕疵というのは物理的なものだけではありません。
心理的な瑕疵に関しても、あらかじめ契約書に記載しておかないと後々責任追及される可能性があります。
どういうことかと言いますと、たとえば殺人事件があった物件です。
住むうえで激しく精神苦痛を伴う物件となるため、告知しておかなければなりません。

また環境的な要因に関しても記載しておくべきでしょう。
たとえば近くに嫌悪施設などがある場合です。

一例として、近くに火葬場や暴力団施設が所在している時などが挙げられます。

このような住むうえでの抵抗感が激しい要因がある場合、契約不適合責任に問われるため、契約書への明記が重要です。

売主は告知義務を果たさないと・・・

まとめ

瑕疵担保責任と契約不適合責任の大きな違いは、瑕疵の有無ではなく契約内容との相違があるかです。
瑕疵であろうがなかろうが、契約書にその旨が記載されていれば責任を問われません
一方で契約書に記載のない不具合に関しては、責任追及される恐れがあります。

請求権の種類も増え、損害賠償の範囲も広がったため、売主の負担は瑕疵担保責任の時より大きいです。
よってこれまで以上に、売却物件への責任を持つ必要があるでしょう。

そのためには事前にホームインスペクションを実施したり、瑕疵担保保険に加入しておくのが有効な手段です。
自分でも気づいていない不具合を明らかにし、特約に記載しておきましょう。
その際のポイントは曖昧な表現は用いず、目的物を明らかにすることです。
きちんと何に対しての責任を負わないのかハッキリとさせ、上手に特約免責を活用することで、売買後のトラブル回避に繋がります。

改定後の契約不適合責任とは?瑕疵担保責任と特約免責をわかりやすく解説
この記事が気に入ったら
いいねしよう!

    SHARE :

関連記事

人気記事